青野篤子氏(2013年度)

  私が心理学を学び始めた1970年代はフェミニズム(ウィメンズ・リブ)が高まった時代でもあり、心理学には批判的・懐疑的にならざるを得ませんでした。パーソナル・スペースの実験で卒論と修論を書きましたが、どうして性差があるのだろうと疑問が残ったままでした。社会人として博士課程に入学し、その疑問を追求し、最終的に、性差は地位の差なのだということを博士論文に書きました。心理学を教える立場としては心理学が母性神話に彩られ、世の中の母性神話を再生産していることにいらだちを覚えながら、そういった類の論文も書きました。ジェンダーの研究者も増えてきて、2002年に仲間を募ってジェンダー研究会を立ち上げ(大先輩の柏木先生や高橋先生の後押しのおかげ)、日本心理学会に「ジェンダー・フェミニズム」(その後「ジェンダー」と改称)の発表部門をつくってもらいました。研究会の活動はホームページでご覧いただけます。みなさんのご支援があればこそです。私が語り継ぎたいことは、「ジェンダー」は視点ではなく実体としてある「問題」であり、それを「フェミニスト」的に研究していこうではありませんか?ということです。